ハチミツとクローバー

ハチミツとクローバー 10 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー 10 (クイーンズコミックス)

何だかいきなり終わったなあ。
ラストの竹本くんに泣かされました。以下、多少ネタばれありですのでたたみます。↓


青春の終わりとはいつか?というのは明確な線引きがよくわからんのですが、社会人になる、というのはひとつの区切りですよね。
働きだしたってしばらくは学生気分はなかなか抜けないし(と、おじさんがよく言いますが。)、20代前半くらいは学生時代の友達とも回数は減っても遊ぶだろうし。真山とか森田さんとかはそんな感じだろう。でも確実に何かが変わっていって、自分の精神状態も少しずつ変わっていって、やがて人は大人になっていくのだ。やーね。切ないね。
はぐちゃんが花本先生を選んだのも、非常に切なかった。人生は迷ってばっかりで、その中で何かを取捨選択していかなければならない。欲しいもの全ては、つかめないのだ。
羽海野さんは、そんな過程にいる若者達を実に魅力的に切なく描いていて、読んでる間中、久々にきゅーんと胸を締め付けられました。大人になってもまた違った迷いや悩みが出てくるわけですが、この青春の酸っぱさはもう二度と味わうことはないのだと思う。そして別に味わいたいとも思わない。だってしんどいもん、というのが三十路の率直な気持ちでもあるわけですが。


ハチクロは青春群像劇ではありますが、やはり主役は竹本くんだったんだなあ、と最後で思った。まさに「22才の別れ」ですね。(いや竹本くんは留年してるから23才の別れ、か。)
ひとつ、年齢の段階が上がる年頃なんだよね、やっぱり。
無駄じゃないよ、誰かをすごく好きになった記憶は、後々その人の人生を支えてくれる、暖めてくれる、そんなことを村上春樹さんがどっかで書いていたような気がしますが、ほんとにそのとおりだと思う。この後も、竹本くんの人生は続いていって、他に好きな子ができて結婚してお父さんになったりして、とかそんな想像もさせてくれる、少女漫画ではありますが、そんな実際的な想像もさせてくれる漫画でした。
面白かった。読んでて幸せでした。
羽海野先生、お疲れさま。人気絶頂期にお話を終わらせる潔さに拍手。